捻挫の症状を徹底解説!足首から指まで、危険なサインを見分けるポイント

「捻挫かな?」と感じた時、その症状が本当に捻挫なのか、どの程度の状態なのか不安になりますよね。この記事では、捻挫で現れる痛み、腫れ、内出血といった基本的な症状から、足首や指など部位ごとの特徴、さらに重症度の見分け方まで、捻挫の症状について徹底的に解説しています。放置してはいけない危険なサインや、すぐに実践できる応急処置についても詳しくご紹介しますので、ご自身の症状を正しく理解し、適切な対応をとるための参考にしてください。

1. 捻挫とは?まず知っておきたい基本的な情報

1.1 捻挫の定義とメカニズム

捻挫とは、関節に不自然な強い力が加わることで、関節を安定させている靭帯や関節包といった組織が損傷してしまう状態を指します。例えば、階段を踏み外したり、スポーツ中に足首をひねったり、指を突き指したりといった際に起こりやすいものです。

私たちの体には、骨と骨をつなぎ、関節の動きを支えるための様々な組織があります。その中でも靭帯は、関節が安定して適切な範囲で動くように、骨同士を強固に結びつける役割を担っています。また、関節包は関節全体を包み込み、関節液を保持して動きを滑らかにする重要な袋状の組織です。

捻挫が起こるメカニズムは、関節が本来動くべき範囲を超えて無理にひねられたり、伸ばされたりすることにあります。この時、関節の可動域を制限している靭帯が過度に引き伸ばされたり、一部が断裂したり、ひどい場合には完全に断裂してしまうことがあります。靭帯だけでなく、関節包や関節軟骨、さらには関節をまたぐ筋肉の腱などが損傷することもあります。このような損傷によって、痛みや腫れといった症状が現れるのです。

1.2 捻挫と骨折や脱臼の違い

捻挫とよく似た怪我に、骨折や脱臼があります。これらはそれぞれ異なる損傷であり、適切な対処のためにはその違いを理解しておくことが大切です。

捻挫は、靭帯や関節包といった軟部組織の損傷を指します。骨そのものに異常があるわけではありません。

一方、骨折は骨が折れたり、ひびが入ったりする状態です。強い衝撃や繰り返しの負担によって骨の連続性が失われます。

脱臼は、関節を構成する骨同士の連結が完全に外れてしまい、関節が正常な位置からずれてしまう状態を指します。関節の構造が大きく変化してしまうことが特徴です。

これらの怪我は症状が似ていることもありますが、以下のような違いで判断の目安とすることができます。

症状のポイント捻挫骨折脱臼
痛み患部を動かすと痛むことが多いですが、安静にしていると比較的落ち着きます。安静にしていてもズキズキとした強い痛みが続くことが多く、体重をかけたり触れたりすると激痛が走ります。関節が外れた瞬間に激しい痛みが走り、その後も強い痛みが続きます。動かせないことが多いです。
腫れ・変形患部が腫れますが、骨の変形は見られません。内出血を伴うこともあります。局所的な激しい腫れが見られ、場合によっては骨の異常な変形が目に見えてわかることがあります。関節の周りが大きく腫れ上がり、関節の形が明らかに変わって見えます。
機能障害動かすと痛みが生じるため、可動域が制限されることがあります。患部の機能をほとんど使えず、体重をかけたり、動かしたりすることが困難になります。関節が外れているため、その関節を自力で動かすことがほぼ不可能です。
受傷時の音明確な音はしないことが多いですが、場合によっては「ブチッ」といった音が聞こえることもあります。骨が折れる際に「ボキッ」という音が聞こえることがあります。関節が外れる際に「ゴキッ」という音が聞こえたり、外れる感覚があったりすることがあります。

これらの症状はあくまで目安であり、自己判断は危険です。少しでも骨折や脱臼の可能性があると感じた場合は、速やかに専門家にご相談ください。

2. 捻挫の主な症状をチェック!痛み、腫れ、内出血

捻挫をすると、私たちの体は損傷した組織を修復しようと反応します。その過程で、いくつかの特徴的な症状が現れます。ここでは、捻挫でよく見られる痛み、腫れ、内出血、そして関節の動きの制限について詳しく解説します。

2.1 捻挫で感じる痛みとその特徴

捻挫の最も代表的な症状の一つが痛みです。靭帯や関節包が傷つくことで、神経が刺激され痛みを感じます。この痛みにはいくつかの特徴があります。

  • 受傷直後の鋭い痛み: 捻挫した瞬間に、鋭い痛みが走ることが多いです。これは、組織が損傷したことを体が知らせるサインです。
  • 動かした時の痛み: 患部を動かしたり、体重をかけたりすると、痛みが強くなる傾向があります。特に、損傷した靭帯が伸ばされる方向に動かすと激しい痛みを感じることがあります。
  • 触れた時の痛み(圧痛): 患部を直接触ると、強い痛みを感じることがあります。これは、損傷部位に炎症が起きているためです。
  • 安静時の鈍い痛みやズキズキ感: 受傷後しばらくすると、安静にしていても鈍い痛みやズキズキとした拍動性の痛みを感じることがあります。これは、炎症が進行している証拠です。

痛みの感じ方は個人差がありますが、痛みが強いほど損傷の程度が大きい可能性があります。

2.2 患部の腫れ(腫脹)と熱感

捻挫をした部位は、多くの場合、腫れを伴います。これは、損傷した組織から血液や組織液が漏れ出し、炎症反応が起きるためです。

  • 腫れ(腫脹): 受傷後、数時間から半日程度で患部が徐々に腫れてくることが多いです。腫れがひどいと、関節の形が分かりにくくなるほどになることもあります。腫れの程度は、損傷の重症度と関連していることがあります。
  • 熱感: 腫れとともに、患部が熱を帯びることがあります。これは、炎症反応によって血流が増加し、体温が上昇するためです。触ると周りの皮膚よりも温かく感じられます。

腫れや熱感は、炎症が起きているサインであり、適切な処置を行うことで軽減できます。

2.3 内出血(あざ)の現れ方

捻挫では、皮膚の下で出血が起こり、内出血(あざ)として現れることがあります。これは、血管が損傷したために血液が組織内に漏れ出すことで生じます。

  • 色の変化: 内出血は、時間の経過とともに色が変化していきます。 経過時間 色の変化 状態 受傷直後〜数時間 赤っぽい色 新鮮な血液の色です。 数時間〜数日 青色や紫色 血液中のヘモグロビンが変化し、青みがかった色になります。 数日〜1週間 緑色や茶色 さらに血液が分解される過程で、色が変化します。 1週間〜2週間 黄色 最終的に黄色くなり、徐々に薄れていきます。
  • 範囲の広がり: 内出血は、重力の影響で患部よりも低い位置に広がっていくことがあります。例えば、足首の捻挫では、足の指の方まであざが広がることもあります。

内出血の程度も、損傷の重症度を判断する目安の一つになります。

2.4 関節の可動域制限

捻挫をすると、関節の動きが制限されることがあります。これは、主に以下の理由によります。

  • 痛みによる制限: 関節を動かすと痛みが強くなるため、無意識に動きを制限してしまうことがあります。
  • 腫れによる制限: 患部の腫れがひどい場合、物理的に関節の動きが妨げられることがあります。関節包内に液体が溜まることで、関節の自由な動きが制限されます。
  • 組織損傷による制限: 靭帯や関節包が損傷することで、関節の安定性が失われ、本来の動きができなくなることがあります。また、組織が修復される過程で硬くなり、動きが制限されることもあります。

関節の可動域が制限されると、日常生活での動作に支障が出ることがあります。例えば、足首の捻挫では、歩く、階段を上り下りするといった動作が難しくなることがあります。

3. 捻挫の重症度と症状の進行

捻挫の症状は、その重症度によって大きく異なります。また、受傷した直後と時間が経過してからでは、現れる症状やその程度も変化することがあります。ご自身の捻挫がどの程度の状態なのかを把握することは、適切な処置を行い、回復を早めるために非常に重要になります。

3.1 捻挫の重症度は3段階 グレード分類

捻挫の重症度は、一般的に靭帯の損傷の程度によって3つの段階に分類されます。この分類は、症状の程度を理解し、今後の見通しを立てる上で役立ちます。

グレード靭帯の損傷度合い主な症状回復期間の目安
グレード1靭帯の軽度の伸びや微細な損傷軽度の痛み、わずかな腫れ、関節の不安定感はほとんどなし数日から1週間程度
グレード2靭帯の部分的な断裂中程度から強い痛み、はっきりとした腫れ、内出血、関節の不安定感がある場合も数週間から1ヶ月程度
グレード3靭帯の完全な断裂激しい痛み、著しい腫れ、広範囲の内出血、関節がグラグラするような強い不安定感1ヶ月から数ヶ月、またはそれ以上

3.1.1 グレード1 軽度の捻挫症状

グレード1の捻挫は、靭帯が一時的に引き伸ばされたり、ごくわずかな損傷が生じたりした状態です。痛みは比較的軽く、違和感程度で済むことが多いでしょう。患部に触れると少し痛みを感じることもありますが、日常生活に大きな支障が出ることは稀です。腫れもほとんど見られないか、あってもごくわずかです。関節の不安定感は感じられず、体重をかけて歩くことも可能であることがほとんどです。しかし、適切なケアを怠ると、痛みが長引いたり、再発しやすくなったりすることもあります。

3.1.2 グレード2 中程度の捻挫症状

グレード2の捻挫は、靭帯の一部が断裂してしまった状態です。痛みは中程度から強く感じられ、ズキズキとした痛みが続くこともあります。患部にははっきりとした腫れが見られ、触ると熱を持っているように感じることもあります。また、靭帯が損傷した部位によっては、内出血が生じてあざ(青あざや紫あざ)が現れることがあります。関節を動かせる範囲が制限され、体重をかけると強い痛みを感じるため、歩行が困難になることもあります。関節に不安定感を感じる場合もありますが、完全にぐらつくほどではないことが多いです。

3.1.3 グレード3 重度の捻挫症状

グレード3の捻挫は、靭帯が完全に断裂してしまった状態です。これは捻挫の中で最も重症な状態です。受傷直後から激しい痛みに襲われ、患部には著しい腫れが見られます。内出血も広範囲にわたり、受傷から数日経つと足首全体が変色することもあります。靭帯が断裂しているため、関節がグラグラと異常に不安定な状態になり、体重をかけることはほぼ不可能です。自力で歩くことは非常に困難で、強い痛みのため動かすこと自体が難しいと感じるでしょう。この状態を放置すると、関節の機能が著しく損なわれ、慢性的な不安定感や痛みが残る可能性があります。

3.2 受傷直後から時間経過による捻挫症状の変化

捻挫の症状は、受傷したその瞬間から時間とともに変化していきます。この変化を知っておくことで、ご自身の状態をより正確に把握し、適切な対処を行う目安にすることができます。

受傷直後(数分〜数時間以内)

捻挫が発生した直後は、まず鋭い痛みを感じます。靭帯が損傷した部位を中心に、ズキズキとした痛みが現れるでしょう。徐々に患部が腫れ始め、熱を帯びることもあります。この段階では、内出血はまだ目に見えないことが多いですが、内部では出血が始まっています。関節を動かすと痛みが強くなるため、可動域が制限されることがあります。

受傷後数時間〜翌日

受傷から数時間、あるいは翌日になると、腫れがさらに顕著になり、患部がパンパンに張ったような状態になることがあります。内部での出血が皮下まで広がると、あざ(内出血)が表面に現れ始めます。最初は赤紫色をしていますが、時間とともに青黒く変化していくでしょう。痛みもピークに達することが多く、体重をかけたり、動かしたりすることがより困難になります。

受傷後数日〜1週間

この時期になると、痛みのピークは過ぎ、徐々に和らいでくることが期待されます。腫れも少しずつ引いていく傾向にあります。内出血の色は、吸収されていく過程で青黒い色から黄色や緑色へと変化していきます。関節の可動域も少しずつ改善し、無理のない範囲であれば動かせるようになることもあります。しかし、まだ完全に回復しているわけではないため、無理な動きは避けるべきです。

受傷後数週間〜数ヶ月

軽度な捻挫であればこの期間でほとんどの症状が改善し、日常生活に支障がなくなるでしょう。しかし、中程度から重度の捻挫の場合、痛みや腫れが引いても、関節の不安定感や違和感が残ることがあります。特に重度の捻挫では、靭帯が完全に修復されるまでに時間を要し、関節の安定性が完全に回復しないこともあります。この段階で無理をしてしまうと、捻挫が慢性化したり、再発を繰り返したりするリスクが高まります。症状の改善状況に合わせて、慎重に活動レベルを上げていくことが大切です。

4. 【部位別】捻挫の症状と特徴

捻挫は、体のさまざまな関節で発生する可能性があります。特に日常生活やスポーツ活動で負荷がかかりやすい部位では、特有の症状が現れることがあります。ここでは、部位ごとの捻挫の症状とその特徴について詳しく解説いたします。

4.1 最も多い足首の捻挫症状

足首の捻挫は、捻挫の中でも最も発生頻が高い部位です。特にスポーツ中や段差につまずいた際などに、足首を強くひねってしまうことで起こりやすいです。足首の捻挫は、ひねり方によって症状が現れる場所や痛みの特徴が異なります。

4.1.1 内反捻挫と外反捻挫の症状の違い

足首の捻挫は、足の裏が内側を向くようにひねる「内反捻挫」と、足の裏が外側を向くようにひねる「外反捻挫」の2種類に大きく分けられます。内反捻挫は足首の外側にある靭帯が損傷することが多く、外反捻挫に比べて発生頻度が圧倒的に高いという特徴があります。それぞれの捻挫で痛みや腫れが出やすい部位が異なりますので、以下の表で確認してください。

捻挫の種類ひねり方痛みや腫れが出やすい部位主な損傷箇所発生頻度
内反捻挫足の裏が内側を向くようにひねる足首の外側(くるぶしの下や前)前距腓靭帯、踵腓靭帯など非常に高い
外反捻挫足の裏が外側を向くようにひねる足首の内側(内くるぶしの下や前)三角靭帯など比較的低い

内反捻挫では、足首の外側に痛みや腫れが集中し、内出血も外側に出やすい傾向があります。一方、外反捻挫は内くるぶし周辺に症状が現れますが、足首の内側の靭帯は外側に比べて強固なため、損傷することは稀です。強い外反捻挫の場合は、骨折を伴うこともありますので注意が必要です。

4.1.2 足首の不安定感や違和感

捻挫の症状が改善した後も、足首に不安定感や違和感が残ることがあります。特に重度の捻挫を経験した場合や、適切な処置が行われなかった場合に起こりやすい症状です。足首がぐらつくような感覚や、少しの段差でもバランスを崩しやすくなることがあります。このような不安定感が続くと、捻挫を繰り返してしまうリスクが高まりますので、違和感がある場合は放置せずに適切な対処を検討することが大切です。

4.2 足の指の捻挫症状

足の指の捻挫は、スポーツ中にボールが当たったり、家具にぶつけたり、つまずいたりした際に起こりやすいです。特に親指や小指に発生することが多いですが、どの指でも捻挫する可能性があります。指の関節が過度に曲がったり、反ったりすることで靭帯が損傷します。

4.2.1 つま先立ちや歩行時の痛み

足の指を捻挫すると、指の付け根や関節部分に痛みと腫れが現れます。特に、つま先立ちをする際や、歩行時に地面を蹴り出す動作で強い痛みを感じることが多いです。また、指を曲げたり伸ばしたりする動作も制限され、日常生活に支障をきたすことがあります。内出血を伴うこともあり、指全体が紫色に変色することもあります。

4.3 手の指の捻挫症状

手の指の捻挫は、球技スポーツでの突き指や、転倒して手をついた際に指をひねることで発生しやすいです。日常生活で非常に頻繁に使う部位であるため、捻挫すると大きな不便を感じることがあります。

4.3.1 物を掴む、曲げる時の痛み

手の指を捻挫すると、指の関節部分に痛み、腫れ、熱感が現れます。特に、物を掴む、握る、指を曲げたり伸ばしたりする際に強い痛みを感じます。ドアノブを回す、キーボードを打つ、ペンを持つといった些細な動作でも痛みが生じ、日常生活に支障をきたすことがあります。関節の可動域が制限され、指が完全に曲がらない、あるいは伸びきらないといった状態になることもあります。

4.4 その他の部位の捻挫症状

足首や指以外にも、手首や膝など、様々な関節で捻挫は発生します。それぞれの部位に特有の症状が現れます。

4.4.1 手首の捻挫症状

手首の捻挫は、転倒した際に手をついたり、スポーツ中に手首を強くひねったりすることで起こります。手首は多くの小さな骨と靭帯で構成されており、複雑な動きを可能にしています。

手首を捻挫すると、手首の関節部分に痛み、腫れ、熱感が現れます。特に、手首を曲げたり、反らしたり、ひねったりする動作で強い痛みを感じます。例えば、ドアノブを回す、重いものを持つ、雑巾を絞るといった動作が困難になることがあります。内出血を伴うこともあり、手首全体が青紫色になることもあります。

4.4.2 膝の捻挫症状

膝の捻挫は、スポーツ中の急な方向転換、ジャンプの着地、衝突などによって膝に無理な力が加わることで発生します。膝関節は、複数の靭帯によって安定性が保たれています。

膝を捻挫すると、膝関節の痛みや腫れが主な症状として現れます。損傷した靭帯の場所によって痛む部位は異なりますが、膝の不安定感を感じることがあります。具体的には、膝がガクッと崩れるような感覚や、膝が完全に伸びきらない、あるいは曲がりきらないといった可動域の制限が見られることがあります。また、膝に水が溜まる(関節水腫)ことで、膝全体が腫れて熱を持つこともあります。

5. 危険な捻挫のサインを見逃さない!病院受診の目安

5.1 こんな症状は要注意!すぐに病院へ

5.1.1 激しい痛みで体重がかけられない、歩けない

捻挫の中でも、受傷直後から激しい痛みが続き、患部に体重をかけることができない場合や、まともに歩くことができない場合は、単なる捻挫以上の重傷である可能性があります。これは、靭帯の損傷が広範囲に及んでいるか、あるいは骨にヒビが入っている、または骨折している可能性も考えられます。特に、痛みが時間とともに悪化するようであれば、専門家による詳しい検査が必要になります。

5.1.2 変形や異常な腫れ、骨折の疑いがある場合

患部をよく観察し、通常ではありえないような変形が見られる場合や、受傷部位が異常に大きく腫れ上がっている場合は、骨折や脱臼の可能性を強く疑うべきです。特に、触れると激痛が走る、骨がずれているように感じるなどの症状がある場合は、自己判断せずにすぐに専門家に相談してください。骨折の有無は画像診断でしか正確に判断できません。

5.1.3 しびれや感覚異常がある場合

捻挫の症状として、痛みや腫れだけでなく、患部やその周辺にしびれを感じたり、触覚が鈍くなったりする感覚異常がある場合は、神経が圧迫されているか、損傷している可能性があります。神経の損傷は、放置すると後遺症につながることもあるため、非常に危険なサインです。このような症状が見られたら、速やかに専門家による診察を受けるようにしてください。

5.1.4 クリック音や関節の不安定感が続く場合

受傷時に「ブチッ」や「ゴリッ」といった異音が聞こえた場合や、その後に関節がぐらぐらするような不安定感が続く場合は、靭帯が完全に断裂している可能性が高いです。特に足首の捻挫では、靭帯の完全断裂が起こると、歩行時などに足首が外れるような感覚を覚えることがあります。関節の不安定感が続くと、捻挫を繰り返しやすくなるだけでなく、将来的に関節の変形につながることもありますので、適切な処置が必要です。

5.2 捻挫を放置するリスクと慢性化

軽度な捻挫だからといって、適切な処置を行わずに放置してしまうと、症状が長引き慢性化するリスクがあります。特に、靭帯が完全に修復されずに緩んだ状態が続くと、関節の不安定性が残り、少しのきっかけで捻挫を繰り返してしまう「捻挫ぐせ」がついてしまうことがあります。また、痛みをかばって不自然な体の使い方を続けることで、他の部位に負担がかかり、新たな痛みや不調を引き起こす可能性もあります。慢性的な痛みや機能障害は、日常生活やスポーツ活動に大きな支障をきたすことになりますので、早期に適切なケアを受けることが大切です。

6. 捻挫の症状が出た場合の応急処置(RICE処置)

捻挫をしてしまった直後から、適切な応急処置を行うことは、症状の悪化を防ぎ、回復を早める上で非常に重要です。ここでは、捻挫の応急処置の基本となる「RICE処置」について詳しく解説します。

6.1 RICE処置の基本

RICE処置は、捻挫や打撲などの急性期の外傷に対して行われる基本的な応急処置の頭文字をとったものです。適切に行うことで、痛みや腫れを抑え、損傷の拡大を防ぐことができます

項目目的具体的な方法
6.1.1 Rest(安静)患部の損傷の拡大を防ぎ、早期回復を促します。捻挫をした部位を動かさないようにします。足首の捻挫であれば体重をかけない、手の指であれば使わないようにするなど、患部に負担をかけないようにすることが大切です。必要に応じて、サポーターや包帯などで固定することも検討しましょう。
6.1.2 Ice(冷却)炎症を抑え、痛みや腫れを軽減します。ビニール袋に氷と少量の水を入れ、患部に当てて冷却します。保冷剤を使用する場合は、凍傷を防ぐためにタオルなどで包んでから当てましょう。1回あたり15分から20分程度を目安に、感覚がなくなるまで冷やし、これを1日に数回繰り返します。冷やしすぎると凍傷の危険があるため注意が必要です。
6.1.3 Compression(圧迫)患部の腫れを抑制し、内出血を最小限に抑えます。弾力性のある包帯やサポーターなどを使い、患部を適度に圧迫します。きつく巻きすぎると血行不良の原因になるため、指先の色や感覚に変化がないかを確認しながら行いましょう。圧迫は腫れの広がりを防ぐ目的で行います。
6.1.4 Elevation(挙上)患部の腫れや内出血を軽減します。捻挫した部位を心臓より高い位置に保ちます。足首の捻挫であれば、クッションなどを足の下に置いて寝る、手の捻挫であれば、腕を吊るすなどして、重力の作用で血液が溜まるのを防ぎ、腫れを引かせやすくします

6.2 RICE処置を行う際の注意点

RICE処置は応急処置として非常に有効ですが、行う際にはいくつかの注意点があります。

  • 冷却のしすぎに注意しましょう。長時間冷やし続けると、凍傷や血行不良を引き起こす可能性があります。適度な時間で休憩を挟み、皮膚の状態を確認しながら行ってください。
  • 圧迫は適切に行いましょう。きつすぎる圧迫は、血流を妨げたり、神経を圧迫したりして、かえって症状を悪化させる可能性があります。しびれや感覚の異常、皮膚の色が変化するなどのサインが見られたら、すぐに圧迫を緩めてください。
  • RICE処置はあくまで応急処置であり、根本的な治療ではありません。特に痛みが強い場合や、腫れがひどい場合、関節の変形が疑われる場合などは、RICE処置を行った後、速やかに専門家へ相談することが重要です。
  • 自己判断で無理に動かしたり、温めたりすることは避けましょう。受傷直後の温湿布や入浴は、血行を促進して炎症や腫れを悪化させる可能性があるため、控えるべきです

これらの注意点を守りながらRICE処置を行うことで、捻挫からの回復をよりスムーズに進めることができます。

7. まとめ

捻挫の症状は多岐にわたりますが、痛みや腫れ、内出血、関節の可動域制限などが代表的です。重症度によって症状は異なりますが、特に激しい痛みや変形、しびれなど危険なサインがある場合は、放置せずに医療機関を受診することが非常に重要です。適切なRICE処置を行うことで、症状の悪化を防ぎ、回復を早めることができます。自己判断が難しい場合や、症状に不安を感じる場合は、早めに専門家にご相談ください。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。

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